お知らせ
- 2025.03.06
- 「Radiation Environment and Medicine Vol.14 No.1」を刊行しました
- 2025.02.18
- 『見ることに言葉はいるのか―ドイツ認識論史への試み―』お詫びと訂正
- 2025.02.17
- 「地域からの考古学 弘前大学の挑戦」を刊行しました
- 2025.01.16
- 弘前大学出版会が新聞(陸奥新報)で紹介されました!
- 2024.12.20
- 「最小の病原-ウイロイド」を刊行しました
2024年度 上半期 TOP20
2024年度 上半期の書籍出荷TOP20のご紹介です。(集計期間: 2024年4月1日〜2024年9月30日)

- 教科書と一緒に読む 海峡地域の歴史 ー津軽・下北・道南ー
- <編集者イチオシ!>
好評を博した『教科書と一緒に読む 津軽の歴史』(2019年刊行)の第2弾です。前著に引き続き教科書との対応関係を重視しながら、今回は新たに「津軽海峡地域の歴史」に焦点を当てました。
中央政権を中心に展開される従来の教科書では、津軽海峡地域は「辺境」ととらえられがちです。しかし実際には、海峡は「しょっぱい川」であり、縄文時代からすでに人々の往来や文化の交流がありました。本書では、そのことが数多くの興味深いエピソードとともに明らかにされていきます。一方では、海峡の歴史を語る上で、アイヌ民族の存在は欠かせません。海峡を通したアイヌ史に大きな比重が割かれているのも本書の読みどころでしょう。
このような広大なテーマに迫るために、本書は青森および北海道の総勢14名が協働で執筆に当たりました。それは、自治体ごとの縦割りになりがちな地域の歴史教育をつなぐ試みでもあります。歴史教育に携わる教員の方々はじめ、青森や北海道に留まらず、地域さらには日本の歴史に興味のある全ての方々に本書をおすすめします。
(担当編集員:岩井草介)

- 地域からの考古学 弘前大学の挑戦
- <編集者イチオシ!>
2021年に北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されて以降、この地域の考古学に対して関心を持つようになった人も多いと思います。とは言っても、弘前大学が、本書で紹介されているような貴重なコレクションを所蔵し、また、長きにわたって地域の遺跡の調査を行ってきたということは、あまり知られてはいないのではないでしょうか。かくいう私も、『地域からの考古学』の編集に携わり、初めて、弘前大学の考古学研究がいかに地域に密着し、青森県全体の考古学研究を牽引してきたかを知りました。同時に、青森県内に、これほど多くの遺跡があり、そのいずれもが、太古の人々の生活の営みを現在に伝える貴重な資料となっているということにも感銘を受けました。 本書には、考古学研究の詳細な内容や遺跡についての説明だけでなく、遺跡や遺物の美しさを伝える写真資料も数多く掲載されています。現代社会では知り得ない、はるか昔の青森の人々の暮らしに、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。北日本の考古学愛好家や研究者だけでなく、学生、これから考古学を学びたい方、大学の考古学教育と研究を知りたい方などにもお勧めしたい一冊です。書店に並んでいたら目を留めずにはいられない美しい一冊に、是非手を伸ばしてみてください。
(担当編集員:土屋 陽子)

- 最小の病原-ウイロイド
- <編集者イチオシ!>
タンパク質をコードしない約400塩基のRNA分子(ウイロイド)が作物に大きな被害をもたらすことが発見されたのは、わずか50年ほど前である。この不思議な病原ウイロイドに関して体系的にまとめられた書籍は世界でもほとんどなく、日本語で体系的にまとめられた書籍は本書が初めてではないだろうか。ウイロイドによる作物被害の1つは、ホップの矮化病である。ホップは8世紀にドイツで栽培が始まったという記録があるにも関わらず、なぜ日本のホップに近年矮化病が発生したのか?その謎を著者が解き明かす。ウイロイドの発見から、ウイロイドによってなぜ作物が病気になるのか、ウイロイドの検定法の開発、そして、ウイロイドを防ぐためにはどうすれば良いのか、著者の研究者人生をかけて科学の力で解き明かす過程は、圧巻である。国内外の840を超える文献を丁寧に引用し、2024年時点でのウイロイドの全容が分かる植物病理学者必読の1冊である。
(担当編集員:柏木 明子)