第16回弘前大学出版会賞が決定しました!
弘前大学出版会では事業の普及・振興を図るため,優れた出版物を弘前大学出版会賞として表彰しております。
第16回となる今年度は,令和5年1月から令和6年12月までの間に発行された作品を対象として選考を行い、以下の作品が選定されました。
受賞作品:『最小の病原-ウイロイド』
受賞者:佐野 輝男
受賞理由は次のとおりです。
ウイロイド研究の集大成
ウイロイド研究の第一人者である著者の長年の研究成果と深い洞察が凝縮された一冊である。日本学士院賞を受賞した著者が、専門家以外には理解が難しい「ウイロイド」について、その起源から利用に関する可能性まで幅広く、かつ体系的に解説している。
本書の学術的価値と特徴
本書は、ウイロイドに関する日本語で書かれた初めての体系的な専門書であり、内外の文献を網羅した労作である。ウイロイド研究の発展が詳細にまとめられており、日本のホップ矮化病発生の歴史に関する記述も含まれるため、日本の当該分野の研究者にとって貴重な参考文献となるであろう。専門書でありながらも、大学出版会からの刊行物として学部生向けの入門書的な教科書としても利用できるよう配慮されており、科学に興味を持つ人々にとって非常に興味深い内容となっている。
著者と弘前大学との繋がり
長年にわたり弘前大学に在籍し、ウイロイドに関する多数の研究業績を持つ著者による単著である点も特筆すべきである。著者が培ってきた研究の成果と、その学術的な意義が集約されており、弘前大学出版会賞にふさわしい作品といえる。
科学の面白さを再認識させる一冊
「生命科学の時代」と言われる21世紀において、植物に感染し農産物に大きな被害を与える可能性のあるウイロイドについて、その知見を一般にも広く紹介する本書は大変価値のある書物である。本書を通じて、科学の面白さを再認識し、ウイロイドというミクロな生命現象が持つ奥深さに触れることができる。
ぜひお手にとってみてください。
2025年6月26日 更新