書籍案内

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地域からの考古学 弘前大学の挑戦

  • 弘前大学人文社会科学部北日本考古学研究センター 編
  • B5判・192頁・並製
  • 定価 2,970円(本体価格2,700円+税)
  • ISBN 978-4-910425-18-4
  • 発行 2025年2月17日(予定)

<編集者イチオシ!>

 2021年に北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されて以降、この地域の考古学に対して関心を持つようになった人も多いと思います。とは言っても、弘前大学が、本書で紹介されているような貴重なコレクションを所蔵し、また、長きにわたって地域の遺跡の調査を行ってきたということは、あまり知られてはいないのではないでしょうか。かくいう私も、『地域からの考古学』の編集に携わり、初めて、弘前大学の考古学研究がいかに地域に密着し、青森県全体の考古学研究を牽引してきたかを知りました。同時に、青森県内に、これほど多くの遺跡があり、そのいずれもが、太古の人々の生活の営みを現在に伝える貴重な資料となっているということにも感銘を受けました。
 本書には、考古学研究の詳細な内容や遺跡についての説明だけでなく、遺跡や遺物の美しさを伝える写真資料も数多く掲載されています。現代社会では知り得ない、はるか昔の青森の人々の暮らしに、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。北日本の考古学愛好家や研究者だけでなく、学生、これから考古学を学びたい方、大学の考古学教育と研究を知りたい方などにもお勧めしたい一冊です。書店に並んでいたら目を留めずにはいられない美しい一冊に、是非手を伸ばしてみてください。


(担当編集員:土屋 陽子)

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内容紹介

次世代と地域をつなぐグローカル考古学への挑戦!

 現在、土偶や史跡などの個々のモノに焦点を当てた出版物は多数あるが、大学が所蔵するコレクションという集合体と、地域に根ざした独創的かつ学際的な研究資源を融合させた考古学の本はみかけない。本書は、「地方」史の枠を超え、地域の考古学研究が歴史の見方をどのように変え、さらにどのように変わり続けるのかを探る。
 前半では、大学が所蔵する貴重なコレクションと、これまで調査してきた遺跡を紹介する。先人たちの研究に対する挑戦や視点を振り返ることで、弘前大学の考古学研究が地域に果たしてきた重要な役割を知ることが出来るだろう。後半では、現在と未来の研究に焦点を当て、地域に根差した大学ならではの学際的かつ創造的な研究を紹介する。地理学、民具学、地学、文化財科学、分子化学、農学など多様な分野からのアプローチに加え、災害や気候変動、地域活性化といった地域発の世界的課題に挑む研究の姿を描く。
 最先端の分析技術の紹介にとどまらず、遺物や遺跡そのものが持つ美的な価値を豊富なグラフィックで紹介し、その歴史的価値にも深く迫っている。新しい考古学の世界を是非楽しんでいただきたい。

◆全ページカラー(口絵19ページ含む)

目次

弘前大学保管の考古資料 選

■日本では随一を誇る―所蔵コレクション
成田コレクション/船木コレクション/高橋コレクション/成田コレクションからみた日本の考古学史

■青森県の遺跡は貴方を待っている
     ―弘前大学考古学研究のあゆみ
小金井兼輝の調査・研究/『岩木山』の刊行と円筒土器文化研究

■時代ごとにみる北東北・北海道の遺跡
      ―弘前大学調査が語る北方史
縄文時代前半
 寅平遺跡/石神遺跡/二ツ森貝塚
縄文時代後半
 湯の沢遺跡(縄文時代後期)/今津(1)遺跡/
 土井(1)遺跡/八幡崎(1)遺跡/石郷遺跡群/
 白神山麓の遺跡群/杉沢遺跡/不備無遺跡/
 上川遺跡/中山遺跡と下台遺跡/
 山王囲遺跡出土品の研究
弥生時代
 砂沢遺跡/湯の沢遺跡(弥生時代前期)/
 清水森西遺跡/垂柳遺跡とその周辺/
 榀ノ木平(3)遺跡
古代~近代
 廻堰大溜池(1)遺跡/外ヶ浜町小国館跡
 (山本遺跡)の測量調査/浪岡城跡/
 北斗市矢不来館跡/サハリン出土の日本製品
 と白主会所跡/松前町福山城下町遺跡/
 弘前大学の地下を探る

■地域を結ぶ―学際的研究
考古学と地理学の融合/考古学と民具学の融合/土器をミクロに見る/アスファルトの考古学/デンプンと使用痕からみた石器の機能と用途/出土イネの古DNAからみたイネの歴史的展開/出土文化財の保存科学/亀ヶ岡文化の漆工芸/自然災害と文化財防災/文化資源としての考古資料/ 亀ヶ岡デザインと生まれた商品

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