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『資本論』研究 -労働価値論・貧困の蓄積論・経済学批判-

  • 高橋秀直著
  • A5判・323頁・上製
  • 定価 2,619円(本体価格2,381円+税)
  • ISBN 978-4-902774-78-8
  • 発行 2011年12月20日

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内容紹介

 資本主義経済の投機化や財政危機などの相次ぐ体制的危機を反映して、マルクスや『資本論』が注目されている。しかし、『資本論』理解をめぐって、かつて至るところに山なす論争があり、根幹である労働価値論さえ整合的に解釈できていないし、「貧困化」論のように現実の前についえた理論さえある。この状況が、90年代以降に労働価値論批判、マルクス相対化の潮流を生み出してきた。
 問題は、『資本論』にあるのか。本書は、とりわけ論争が多い労働価値論と価値実体論、「貧困化」論、さらに『資本論』を小農に適用したとされる農業問題論を取り上げ、それらをめぐる問題と論争が、『資本論』から逸脱した通説的・通俗的解釈やイデオロギー的解釈が生み出したものであり、『資本論』に即して読むならば、論理と現実に整合的な『資本論』理解が得られることを論証している。

目次


凡例
第1部 労働価値論
 第1章 『資本論』の分析的方法と冒頭商品の
     理論的性格
  第1節 マルクスの分析的方法
  第2節 『資本論』と分析的方法
 第2章 「労働の二重性」論の経済学的意味
  はじめに
  第1節 「労働の二重性」論のふたつの視点
  第2節 貨幣生成と「労働の二重性」論
  第3節 「労働の二重性」論の現代的意義
 第3章 社会的必要労働概念と価値論・市場
     価値論
  第1節 問題の所在
  第2節 第1部と第3部の社会的必要労働概念
  第3節 価値論における第1部と第3部
 第4章 「差額地代=虚位の社会的価値」論と
     価値実体論
  はじめに
  第1節 「平均原理・限界原理」と価値実体論
  第2節 差額地代の源泉と「強められた
      労働」論
  第3節 超過利潤と「虚位の社会的価値」論
 第5章 労働価値論批判論の検証
  はじめに
  第1節 通説的「価値実体=抽象的労働」論
      によるマルクス批判
  第2節 マルクスの古典派派労働価値論への
      引き戻し
  第3節 マルクスのベイリー化
  第4節 「労働と正義」論の帰結 
第2部 貧困の蓄積論・変革論
 第6章 第1部蓄積論における「貧困の蓄積」論
  はじめに
  第1節 蓄積論の分析視角と主題
  第2節 第23章と蓄積論の主題
  第3節 「資本の蓄積法則」論と労働者階級
      状態論
 第7章 「貧困の蓄積」の社会的=歴史的把握と
     変革論
  はじめに
  第1節 「貧困の蓄積」の社会的=歴史的把握
  第2節 変革主体形成の契機
  第3節 「貧困化」論の検証
 第8章 第1部蓄積論の成立過程
  はじめに
  第1節 『経済学批判要綱』の「蓄積論」
  第2節 「1859(61)年プラン」の「蓄積論」
  第3節 『1861-63年草稿』の「蓄積論」
  第4節 『1863-64年第1部草稿』の
      「蓄積論」
  第5節 第23章の誕生と蓄積論の成立
第3部 経済学批判
 第9章 労賃形態の「必然性・存在理由」
  はじめに
  第1節 「必然性・存在理由」をめぐる通説
  第2節 「必然性・存在理由」の論拠
  第3節 これまでの研究の問題
 第10章 「c+v」擬制論の揚棄と農業問題の再生
  はじめに
  第1節 「c+v」論の論理と問題 
  第2節 「c+v」論の破綻と価値論の現実性
  第3節 「c+v」論揚棄の課題
引用文献

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