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青森の文学世界 〈北の文脈〉を読み直す

  • 郡 千寿子・仁平 政人 編著
  • 四六判・上製・424頁
  • 定価 3,300円(本体価格3,000円+税)
  • ISBN 978-4-907192-79-2
  • 発行 2019年9月27日

第12回弘前大学出版会賞受賞図書

青森ゆかりの作家、著述家たちが創造した
豊饒なる文学世界を一望に収める、
画期的な研究論集!

<編集者イチオシ!>
 私が東京で学生だった頃、太宰治の自己破滅型の小説や、寺山修司の前衛的美の世界に衝撃を受け、このような独特な芸術家が誕生した青森に憧憬を覚えていました。また、その後に「青い山脈」「若い人」などを読み、石坂洋次郎という作家を知ることになりました。それらの小説には明るく健全でさわやかな青春群像が描かれていました。

 私が抱く青森のイメージは暗い曇天から輝く晴天へと変貌し、青森の芸術が持つ陰影の濃さ、振り幅の大きさ、奥行きの深さに驚嘆したものです。美術の世界においても棟方志功や奈良美智などの著名な画家を排出しています。民藝運動の巨匠と現代アートの旗手による激しいコントラストが共在する青森。おそるべし。

 本書は北の青い森の世界をイメージした装丁となっています。中を開けば、森の深緑へ差し込む探求の光芒が8名の文学者の魅力を照らしています。「青森の魅力」「文学の魅力」「作家の魅力」を堪能することができる一冊です。ぜひお手にとって一読ください。

             (担当編集員:佐藤光輝)

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内容紹介

近代以降、青森県は多くの優れた文学者を輩出してきた。本書は、青森出身の著名な文学者の中でも、陸羯南、佐藤紅緑、秋田雨雀、葛西善蔵、高木恭造、石坂洋次郎、今官一、三浦哲郎という8名を取り上げて、その活動や作品についてアプローチを行った論集である。文学研究・日本語学・国語教育など多様な立場に基づく本書の各論考は、個々の文学者に対する見方を更新し、その魅力や可能性を、それぞれ新たな角度から示している。その意味で本書は、研究書として意義を持つだけでなく、青森や文学に関心を持つ全ての人を「青森の文学世界」に誘う一冊となるだろう。
巻末には、青森にかかわる文学者を幅広く紹介する「青森文学案内」を収録。

・関連書
太宰へのまなざし―文学・語学・教育―
寺山修司という疑問符

目次

はじめに ・・・・・・・・・・・・ 仁平 政人
Ⅰ 陸 羯南
  陸羯南における文学観念の形成(舘田 勝弘)
Ⅱ 佐藤 紅緑
  感想其他 佐藤紅緑『ああ玉杯に花うけて』
   (山田 史生)
Ⅲ 秋田 雨雀
  敗戦直後の秋田雨雀
   ―占領下の郷里とのかかわり―
   (尾崎 名津子)
Ⅳ 葛西 善蔵
  葛西善蔵「雪をんな」論
   ―弘前の雪女伝承を起点に―(竹浪 直人)
Ⅴ 高木 恭造
  幻の蝶を追いかけて
   ―高木恭造・満洲・マイナー文学―
   (ソロモン・ジョシュア・リー)
Ⅵ 石坂 洋次郎
  石坂洋次郎「老婆」改訂の意味(森 英一)
  『若い人』と『青い山脈』の色彩世界
   (郡 千寿子)
Ⅶ 今 官一
  「場外れ」のモダニストの射程
    ―今官一論序説―(仁平 政人)
Ⅷ 三浦 哲郎
  三浦哲郎「盆土産」の教材としての可能性
   (鈴木 愛理)
Ⅸ 青森文学案内(櫛引 洋一)
あとがき ・・・・・・・・・・・  郡 千寿子