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教科書と一緒に読む 津軽の歴史

  • 小瑶 史朗・篠塚 明彦 編著
  • A5判・168頁・並製
  • 定価 1,870円(本体価格1,700円+税)
  • ISBN 978-4-907192-77-8
  • 発行 初版第1刷2019年7月31日
    第2刷2019年10月29日
    第3刷2020年1月20日
    第4刷2020年12月21日
    第5刷2023年7月7日

<第11回弘前大学出版会賞受賞図書>
教科書が面白くなる!一冊


<編集者イチオシ!>
 教科書といえば,「面白くないもの」の代名詞です。何となく平板で,味気ない感じがします(実際にはそんなことはないのかもしれませんが)。おまけに歴史の教科書といったら,あれこれ暗記しなければならないし,どこか遠くのことばかり書かれているようで,どうにもつまらない気がします。しかしそんな遠い歴史もあれば,もう一方には私たちの両親や祖父母,さらにはずっとずっと遡ったご先祖たちが生きてきた,身近な歴史,地域の歴史というものも存在します。この本は,そうした2つの歴史が,しっかり結びついていることを示しています。つながりを知ることで,教科書は,そして歴史はぐっと面白いものに感じられるはずです。
 この本では,いわゆる「中央」と「地方」という分け方もひっくり返って,私たちの今いる場所=地域が「中心」となっています。この「中心」から広がっていく歴史に思いをめぐらせてみましょう。教科書を通じた勉強の一歩先へと進んでみたい人に,ぜひ手にとっていただきたい一冊です。
(担当編集員:髙瀬 雅弘)

 

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内容紹介

 教科書にみられる日本の歴史は、常に政権所在地を中心に描かれてきました。そのように描かれた歴史のもとでは、ここ津軽は「周縁」に位置づけられています。しかし、「周縁」とされてきた津軽の地にも古くから人々の営みがあり、個性的で豊かな文化が育まれてきました。また、時には人やモノの交流を通じて日本各地、そして世界とも深く結びついてきた地域でもあります。
 本書は、津軽に軸足を置きながら教科書に描かれた中央中心の歴史像を相対化し、もう一つの日本の姿を浮きあがらせる試みです。教科書の項目を意識して古代から現代までを扱っています。学校現場で歴史を教えている先生方をはじめ、地域の歴史や日本の姿を見つめ直してみたいと思っている多くの方々にお読み頂きたいとの思いを込めて作り上げた一冊です。

目次

1. 津軽から始まる「日本列島の歴史」?
   ―三内丸山遺跡―      (中妻 雅彦)
2.弥生稲作文化の北限地
   ―垂柳、砂沢遺跡―     (中妻 雅彦)
3.防御性集落の時代
   ―高屋敷館遺跡と蝦夷の社会―(小林 雅人)
4.板碑から見る鎌倉時代の津軽  (金子 勇太)
5.北の港湾都市十三湊の繁栄 
   ―北方交易と安藤氏―    (金子 勇太)
6.北奥の貴族「浪岡御所」
   ―南北朝動乱から戦国時代へ―(佐藤 一幸)
7.弘前城下
   ―江戸時代前期のお城と町場―(佐藤 一幸)
8.蝦夷錦の来た道
   ―鎖国下の交易とアイヌ、津軽― (瀧本 壽史)
9.津軽の山から世界へ
   ―近世諸産業の発達と尾太鉱山― (篠塚 明彦)
10.活発だった日本海の海運
   ―海上交通網の整備と北前船―(篠塚 明彦)
11.近世津軽の飢饉と民衆
   ―天明の飢饉―       (瀧本 壽史)
12.なぜ農民たちは立ちあがったのか 
   ―ロシア船の来航と一揆―  (鈴木 康貴)
13.東奥の自由民権運動は何を目ざしたのか
                 (小瑶 史朗)
14.弘前に置かれた第八師団 
   ―日清・日露戦争と津軽―  (鈴木 康貴)
15.革命を支援した津軽人 
   ―孫文・辛亥革命と山田兄弟― (篠塚 明彦)
16.禁じられた避難 ―青森空襲― (金子 勇太)
17.岩木山から眺める戦後日本   (小瑶 史朗)
18.高度経済成長期・津軽からの「問い」 
                 (小瑶 史朗)
19.列車に乗った「金の卵」たち
            (金子 勇太・小瑶 史朗)