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T.S. エリオットのヴィア・メディア -改宗の詩学-

  • 村田 俊一 著
  • 四六判・358頁・上製
  • 定価 4,295円(本体価格3,905円+税)
  • ISBN 4-902774-03-8
  • 発行 2005年6月16日

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内容紹介

 本書の題にある「ヴィア・メディア」は、元来、ラテン語で「中道」を意味する言葉であるが、キリスト教の領域に広げられるとカトリシズムとプロテスタンティズムとの中間を行く英国国教会の精神を指すものとして使われる。著者は、この本でエリオットの詩作品に見られる文字通りの中道精神が改宗を契機にして、宗教的な「ヴィア・メディア」の次元にまで高められて行く彼の精神的遍歴を跡付けている。この二項対立する究極の世界は、彼の詩人としての極点を示す『四つの四重奏』(1934)の最終行にある「火と薔薇は一つになる」という詩的表象で歌われている。日本英文学の泰斗、山形和美氏(元筑波大学教授)は、著者の慎重なテキスト解読でエリオットの「〈不明〉の世界に潜入」する姿勢が「いかに勇気と英知を必要とするものであるか」と問いかけ、「本書は…私の知るところ、類書はない…著者は個別性と全体性への見事な複眼を備えている」(『英語青年』第151巻第10号、2006年1月)と評している。
・関連書
T.S. エリオットの思索の断面―F.H.ブラッドリーとニコラウス・クザーヌス―

目次

序論
第1章 ヴィア・メディア
    -懐疑と信仰-
第2章 ケンブリッジ・プラトン学派
    -信仰と理性-
第3章 両面の神ヤーヌス
    -キリスト教とペシミズム-
第4章 見えざるユーメニディーズ
    -罪と贖い-
第5章 アナグノーリシス
    -日常性と背後世界-
第6章 中世への憧れ
    -思考と感情-
第7章 フィグーラとしての風景
    -批岸と彼岸-
第8章 真の宗教詩人を求めて
    -「聖(みこ)意(ころ)は
       すなはちわれらの平和」-
あとがき
参照・引用文献目録
索引

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