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高葛藤紛争における子の監護権 ―弁護士実務の視角から法的課題を問う―

  • 渡辺義弘著
  • A5判・290頁・並製
  • 定価 2,860円(本体価格2,600円+税)
  • ISBN 978-4-907192-45-7
  • 発行 2017年2月28日

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内容紹介

 裁判所が取り扱う面会交流紛争の法運用はどうあるべきか。これが本書の焦点である。家裁の弁護士実務で直面する課題は、時代の大きな動向と混迷を背景とする。高葛藤下の面会交流紛争が家裁で多発している。子どもと離別した父の不平の根は、往々にして「多くの時間を子どもと過ごしたいという親の単純な要求ではなく大人の絶望にある」(ウォラースタイン)という言葉が切実に迫る。一方、高葛藤ゆえに、子どもの同居母が受忍する面会交流の感情的役務には限界があり、これも切実である。新自由主義の価値感による政治の苛酷さは、市民レベルで国家に対する社会的信頼感を希薄化している。国家の一翼を担う家裁が「子の福祉」を教科書のように唱えても市民は納得しない。最近の5年で全国の家裁を席巻してしまった面会交流原則的実施方針の教条崇拝はいずれ大きな矛盾に直面する予感を生起する。本書による問題提起はその糸口である。
・関連書
子の監護権紛争解決の法的課題―弁護士実務の視角から問う―

目次

第1章 高葛藤化する面会交流紛争の課題
 第1節 面会交流の強制と援助の狭間に見えるもの
     ―制裁は,援助制度の現実とのバランス
     を―
 第2節 共同監護論の光と影
 第3節 面会交流原則的実施方針に対する疑問
     ―心理学的知見の教条化を排した実務
     運用はどうあるべきか―
 第4節 高葛藤事案における代理人弁護士の任務
 第5節 面会交流至上主義への懸念―福岡家裁平成
     26年12月4日審判の意味するもの―
第2章 手続保障論の課題
 第1節 子ども代理人による三面関係の手続保障
 第2節 調査官調査に対する手続保障―「調査
     ブラックボックス」現象の克服
第3章 子の引渡手続論の課題
 第1節 利用者のための引渡強制システム
 第2節 人身保護法による救済の復活の需要
 第3節 子の引渡し執行の実効性(裁判例評釈)
     ―東京高決平成24年6月6日判時2152号
     44頁―
第4章 (補論)時代の要求としての子どもの養護
     ―「子の最善の利益」を特別養子制度の
     側面から考える―
終 章 子の監護をめぐる高葛藤紛争解決の理念と
    手続に関する私見の総括

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