T.S. エリオットの思索の断面 ―F.H.ブラッドリーとニコラウス・クザーヌス―
- 村田 俊一 著
- 四六判・292頁・上製
- 定価 4,620円(本体価格4,200円+税)
- ISBN 978-4-907192-19-8
- 発行 2014年10月15日
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内容紹介
本書は1948年ノーベル文学賞を受賞したT・S・エリオットの文学と哲学の関係を論じたものである。彼はハーヴァード大学院時代、19世紀後半の英国の哲学者F・H・ブラッドリーについて博士論文を書いている。本書の著者は既にブラッドリーの「懐疑的精神」とエリオットの「中道精神」(ヴィア・メディア)を関係づけた<『T・S・エリオットのヴィア・メディア―改宗の詩学―』(弘前大学出版会、2005)を出版したことがある。本書ではこの著書を基軸にし、エリオットの「思索の断面」に流れている「全体」の概念を博士論文に立ち帰って、彼の文学、そして「感性の統合」が見られるデカルト以前の中世に見出だし、さらには「対立物の一致」で有名な15世紀のドイツの神秘主義者ニコラウス・クザーヌスまで遡った。エリオットのこの「思索の断面」を辿ることによって、彼が如何にしてダンテ的ヴィジョンの「薔薇園」へ帰還したかという彼の旅路の一端が垣間見られるであろう。
・関連書
『T・S・エリオットのヴィア・メディア―改宗の詩学―』
目次
序章
第1部
第1章「視点」
1 「事実の感覚」
2 「直接経験」
3 「単子」と「有限的中心」
第2章 唯我論
1 プルーフロックの原初的意識
2 作品と伝記の狭間で
3 自己の幽閉、そして脱自へ
第3章 形而上詩
1 機知と想像力
2 形而上詩の背景
3 「感性の統合」と「分裂」
第2部
第4章 神秘主義
1 忘我の一瞬
2 「知的な信仰者」
3 偽ディオニシウス・アレオパギタ
第5章 対立物の一致
1 相反するイメージと円環
2 「静止点」と「受肉」、そして「言葉」
3 ニコラウス・クザーヌス
第6章 薔薇園への帰還
1 幼少期の経験
2 グノーシス主義
3 薔薇園
あとがき
参照・引用文献目録
索引