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リンゴ農家の経営危機とリンゴ火傷病の検疫問題 -WTO体制下の構造問題に迫る-

  • 宇野 忠義 著
  • B5判・61頁・並製
  • 定価 506円(本体価格460円+税)
  • ISBN 978-4-902774-29-0
  • 発行 2007年12月14日

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内容紹介

 おいしいリンゴは、永年の英知と経験、自然・病虫害との闘い・共生のたまものであり、その価値が正当に評価され、再生産できることを待っている。ところが、そのりんご産業が現在重大な危機に直面している。1990年4月にりんご果汁の輸入自由化が決定され、それ以降果汁の輸入が増大を続けており、こうした国際競争と輸入圧力によって極めて厳しい局面に立たされてきた。ことに、リンゴ農家の経営の悪化はかってない厳しさがあり、耐え難い恐慌的状態に陥っている。青森県の稲作も同様に厳しい状況にあるが、このような事実は一部の専門家のみしか知らない。広く一般には知らされていないといえる。危機は貿易自由化との関連で発生しており、その根源には1995年に成立したWTO(世界貿易機関)体制の存在とそれがもたらす構造的問題性を指摘できる。本書では、国際的視野の下で、経営問題と検疫問題を通して、WTO体制の構造的問題に迫っている。本書はリンゴ産業・農業関係者のみならず、消費者にも是非目を通し、考えていただきたい書物である。

目次

はしがき
目次
はじめに
第1章 リンゴ果汁輸入の急増が日本のリンゴ経営
    に与えた影響
 第1節 中国のリンゴ生産の激増とその背景
 第2節 中国産リンゴ及び果汁の輸出の激増
 第3節 日本のリンゴ及び果汁の輸入状況
 第4節 リンゴ果汁輸入の増大がリンゴの価格に
     与えた影響
 第5節 青森県のリンゴ農家の経営の悪化による
     恐慌的状態
 第6節 今後の課題と展望
      ―旧相馬村における農業を核とした
       産業構造立体化の取り組み―
  第1項 旧相馬村農業の概要
  第2項 旧相馬村における産業構造立体化の
      取り組み
  第3項 今後の課題
第2章 最重要病害リンゴ火傷病の日米検疫問題の
    経過と今後の課題
 はじめに
 第1節 リンゴ火傷病の日米検疫問題の経過
  第1項 リンゴ火傷病の検疫措置に関する経緯
      と背景(2004年1月まで)
  第2項 米国産リンゴ火傷病に係る検疫措置の
      改正案
  第3項 2004年改正措置に対するパブリック・
      コメントの意見及び政府の見解
  第4項 米国の再提訴と再パネル報告
  第5項 リンゴ火傷病の植物検疫措置に関する
      WTO再パネル報告の採択
  第6項 アメリカ合衆国産リンゴ生果実に係る
      火傷病検疫措置の改訂
 第2節 改訂検疫措置に対する若干の考察
  第1項 米国の主張の問題点
  第2項 日本の特殊条件の考慮の欠如
  第3項 予防原則の欠如、無視の問題性
 第3節 ドイツにおける火傷病の発生と防除対策
     並びに火傷病防疫条例
おわりに
 第1節 WTO体制の特徴とその影響、問題性
  第1項 WTO体制の特徴
  第2項 日本農業への影響
 第2節 リンゴ経営及びリンゴ火傷病の検疫問題
     への今後の課題
あとがき

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