書籍案内

ここから本文です

弘大ブックレット No.8 ブナの森の湖沼群 ―白神山地・十二湖の水生生物を探る―

  • 大高明史著
  • A5判・94頁・並製
  • 定価 680円(本体価格619円+税)
  • ISBN 978-4-902774-82-5
  • 発行 初版第1刷2012年2月20日
         第2刷2017年4月24日

一般の書店にてお求めいただけます。(各書店にご注文ください)

弘前大学生協インターネットショッピングにてお求めいただけます。

内容紹介

 十二湖は、白神山地のブナ林に散らばる31の湖沼の総称である。大きさや水の色、冬の結氷のようすなどが異なる湖はどれも個性的で、森の中の湖沼めぐりは四季それぞれに楽しい。本書は、20年以上にわたって学生たちと続けてきた、十二湖での野外調査の記録である。主役は、ミジンコやワムシなどのプランクトンや、水生昆虫、両生類,魚類など、水中で暮らす生物たちである。ミジンコやモリアオガエルが、小さな湖沼でしか見られないのはなぜか。ヨコエビが晩秋に堰を切ったように一斉に繁殖するのはなぜか。上流の湖沼に住むワカサギほど体が大きいのはなぜか。たくさんの問題を発見し、みずから解決に迫った。そこから見えてきたことは、森と水の深いつながりだった。十二湖の全湖沼について、深さや別名などの情報を掲載したほか、湖沼生物の変遷や水質の特徴、湖沼名の由来などにも触れ、十二湖のガイドブックとしての利用価値も高い。

目次

はしがき
はじめに
1章 たくさんの湖
十二湖の成因/十二湖の湖沼数/湖沼名の変遷/湖沼名の由来
2章 大きな湖・小さな湖
2-1 湖沼の大きさと水質
大きな湖沼/小さな湖沼/青池の不思議な青/十二湖のミネラルウォーター/深い湖沼の多い十二湖
2-2 水中の生きものたち
「大きな湖沼」のプランクトン/水中の環境とプランクトンの鉛直分布/「小さな湖沼」のプランクトン/分布が重なるふたつの両生類
3章 変わる生物たち
生物群集が異なる理由は?/一九四〇年代に変化したプランクトン/魚の移入史/ワカサギが原因?/両生類も変化した/夏に高かった透明度/夏の透明期/魚が決める透明度/十二湖の水生植物/十二湖の外来生物
4章 ミジンコの湖
ミジンコの一生/赤いミジンコ/ミジンコvsワムシ/活発な上下移動と水平移動/ミジンコをねらうたくさんの天敵/刺を生やすミジンコ
5章 数珠つなぎの水辺
河川と湖沼が連続する越口の池水系/水温研究の実験場/湖の深呼吸/夏と冬の成層/落口の池と王池の変わった湖水循環/湖水循環の見本市/動物のいない深底部/水質とプランクトンの変化/水に入る落葉の量/動物に使われる落葉/河川底生動物の流程変化/十二湖のヨコエビ類/ヤマトヨコエビの分布と生活史の変異/生活史を決める二種類の温度/上流ほど大きいワカサギ/短縮された河川
あとがき
引用・参考文献

【カテゴリー】, ,