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ローカル歌謡の人類学 -パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識-

  • 諏訪淳一郎<著>
  • 四六判・290頁・上製
  • 定価 4,620円(本体価格4,200円+税)
  • ISBN 4-902774-04-6
  • 発行 2005年6月30日

第6回 日本オセアニア学会賞受賞(2007年)

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内容紹介

 独立以降のパプアニューギニアに生じた、新しい民衆意識「グラスルーツ」。かれらは自らの相貌に村落の風景を重ね合わせながら、自文化と他文化を切り分けてきた。グラスルーツが好むダンス向けの歌謡は、たくさんの村の小さな現地語で歌われるために、すべてを聞き取るのが難しい。しかし、聴衆はこのばらばらな音の氾濫に身を浸しながら、親しい者への愛着が感受できるような声の要素を拾い聞き、歌声の主を想像の村落の風景に再構成し、そこに自らの居場所を見出している。これが、ダンス歌謡をパプアニューギニアに生きる「われわれの歌」として聞く想像力の回路である。この回路を通じて、オーストラリアなどの外国の音楽と峻別されつつ、ローカルの歌謡と民衆意識が再生産されている。丹念なフィールドワークから現地の人の聴取行動を掘り起こし、文化人類学と民族音楽学の両面から切り込んだ民族誌。現代オセアニア文化を知りたい人にも必読の書。

目次

第一章 グラスルーツ
第二章 受容
第三章 肌の知
第四章 ダンス会場
第五章 シンシン・トゥンブナの構築
第六章 ロコル歌謡の表現
第七章 漕ぎ出すカヌーの悲歌
第八章 断片聴覚とワントク・イデオロギー