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教科書と一緒に読む 海峡地域の歴史 ー津軽・下北・道南ー

  • 大谷伸治・小瑶 史朗・篠塚 明彦・瀧本壽史 編著
  • A5判・180頁・並製
  • 定価 1,980円(本体価格1,800円+税)
  • ISBN 978-4-910425-19-1
  • 発行 2025年3月17日(予定)

<編集者イチオシ!>
 好評を博した『教科書と一緒に読む 津軽の歴史』(2019年刊行)の第2弾です。前著に引き続き教科書との対応関係を重視しながら、今回は新たに「津軽海峡地域の歴史」に焦点を当てました。
中央政権を中心に展開される従来の教科書では、津軽海峡地域は「辺境」ととらえられがちです。しかし実際には、海峡は「しょっぱい川」であり、縄文時代からすでに人々の往来や文化の交流がありました。本書では、そのことが数多くの興味深いエピソードとともに明らかにされていきます。一方では、海峡の歴史を語る上で、アイヌ民族の存在は欠かせません。海峡を通したアイヌ史に大きな比重が割かれているのも本書の読みどころでしょう。
このような広大なテーマに迫るために、本書は青森および北海道の総勢14名が協働で執筆に当たりました。それは、自治体ごとの縦割りになりがちな地域の歴史教育をつなぐ試みでもあります。歴史教育に携わる教員の方々はじめ、青森や北海道に留まらず、地域さらには日本の歴史に興味のある全ての方々に本書をおすすめします。

(担当編集員:岩井草介)

 

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内容紹介

2021年に世界遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の存在は、津軽海峡をはさむ津軽・下北・道南の各地域に共通の文化圏が形成されていたことを示しています。これらの地域は、「しょっぱい川」とも呼ばれた海峡を介して深く関わりあいながら歴史を刻んできました。
本書では、津軽・下北・道南を「海峡地域」として一体的にとらえ、その歴史的な歩みを地域間の相互関係に着目しながら描き出すことを試みました。前著『教科書と一緒に読む 津軽の歴史』と同様に、先史・古代から近現代まで、学校で使用されている歴史教科書との対応を意識して題材を選びました。学校現場で歴史を教えている先生方をはじめ、この地域の歴史に関心を持つ多くの方々に手に取っていただきたいとの思いを込めて作った一冊です。 

目次

はじめに

総論Ⅰ 海峡地域で育む歴史の見方・考え方①
「境界」から歴史をみつめる    (小瑶史朗)

総論Ⅱ 海峡地域で育む歴史の見方・考え方②
「日本史」の時代区分を問いなおす(大谷伸治)

総論Ⅲ 海峡地域で育む歴史の見方・考え方③
民族のあり様 を動態的にとらえる (篠塚明彦・小瑶史朗・大谷伸治)         
                        
《第Ⅰ部 海峡地域の成立》

1.世界遺産になった「津軽海峡文化圏」の縄文世界(工藤 廉・大谷伸治)

コラム1 北海道と本州の違いは弥生時代から?
     —縄文人の虫歯率— (大谷伸治)

2.水田稲作を途中でやめた/採用しなかった人々
  —東北北部の「弥生文化」と続縄文文化—(大谷伸治)

3.大陸の文化と本州の文化の出会い
  —オホーツク文化と擦文文化— (篠塚明彦)

4.「アイヌ文化」の成立
  —エミシ・エゾ・アイヌ史— (谷本晃久)

《第Ⅱ部 海峡地域の変容・動揺》

5.海を渡った壺
  —北方世界と平泉政権— (金子勇太)

6.和人の進出とアイヌ社会の変容(川端裕介)

7.アイヌ民族と和人の衝突
  —コシャマインの戦い— (川端裕介)

8.モノから読み解くアイヌ社会への和人文化の浸透(金子勇太)

コラム2 地図のなかの海峡と蝦夷地(市川晃義)

《第Ⅲ部 海峡地域の分断・交流》

9.松前藩の成立と北奥地域
  —海峡地域の分断と交流— (瀧本壽史)

10.弘前藩と盛岡藩による本州アイヌ支配の展開
  —「犾」支配と「内国化」「同化」—(瀧本壽史)

コラム3 海峡を渡った漂流民
     —佐井村牛滝の慶祥丸の漂流—(三浦晋平)

11.「内憂」と「外患」の海峡 (鈴木康貴)

12.箱館開港から箱館戦争へ (佐藤一幸)

コラム4 海峡を旅する人々 (市川晃義)

《第Ⅳ部 海峡地域の再編と新展開》

13.青森県の成立と北海道開拓 (國岡 健)

14.西洋文化の受容
  —弘前と函館の女子教育にみる文明開化—(國岡 健)

15.帝国の缶詰
  —北洋漁業の拠点となった津軽海峡—(小瑶史朗)

コラム5 津軽海峡と感染症 (大谷伸治)

16.向かい合う「幻の鉄道」 
  —戦時下の物資輸送— (中野 悠・小瑶史朗)    

17.敗戦後の津軽海峡は何を繋いだか?(小瑶史朗・篠塚明彦)
 

コラム6 アイヌ近現代史とセトラー・コロニアリズム(大谷伸治)

あとがき

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