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『資本論』「第一章 商品」の解読 -マルクス独特の文体による経済学者との“対話篇”-

  • 丹野正著
  • B5判・168頁・並製
  • 定価 2,409円(本体価格2,190円+税)
  • ISBN 978-4-902774-81-8
  • 発行 2012年2月9日

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内容紹介

 「商品」について検討したのはマルクスが初めてではない。すでに経済学者が「商品は使用価値であるとともに交換価値をも有する」と言っていた。彼は最初にこの見解をとりあげて、「交換価値」は、商品交換社会の人々が自分たちの生産物(使用価値)に担わせた「超自然的な属性」なのだと指摘する。そして、商品の「交換価値の源泉は労働だ」という経済学者の見解に対しても、<あなた方は「商品に表わされている労働の二重性」にまったく気づかず、使用価値を生産した「種々の有用労働」と、「価値としての商品」を生産するという「抽象的な人間一般の労働・人間の労働力の支出」とを、区別せずに同一の労働として論じている>と批判する。「第一章 商品」は、経済学者との<暗黙の対話法>という独特の叙述方法による「経済学批判」なのである。マルクス主義者も反対派もこの叙述方法に気がつかないので、誤読し誤解したうえで論争を続けている。

目次

はじめに
第一章 商品
第一節 商品の二つの要因 使用価値と価値(価値実体 価値量)
(1)初版と第二版の叙述スタイルの違い
(2)使用価値と交換価値――初版と第二版での
   交換価値という概念の違い
(3)「商品‐価値」または「価値としての商品」
   ――第二版での新たな「価値」概念
第二節 商品に表わされる労働の二重性
(1)商品の使用価値(素材的富)の父としての
   労働
(2)商品‐価値すなわち価値としての商品に表わさ
   れる労働
第三節 価値形態または交換価値
    (第三節の検討課題)
 A 単純な、個別的な、または偶然的な価値形態
  一 価値表現の両極 相対的価値形態と等価
    形態
  二 相対的価値形態
   a 相対的価値形態の内実
   b 相対的価値形態の量的規定性
  三 等価形態
   (1)等価形態の第一の特色
   (2)等価形態の第二の特色
   (3)等価形態の第三の特色
   (4)アリストテレスの考察について
   (5)寄り道――アリストテレス自身の考察
   (6)アリストテレスの考察について
      ――続き
  四 単純な価値形態の全体
 B 全体的な、または展開された価値形態
  一 展開された相対的価値形態
  二 特殊的等価形態
  三 全体的な、または展開された価値形態の
    欠陥
 C 一般的価値形態
  一 価値形態の変化した性格
  二 相対的価値形態と等価形態との発展関係
  三 一般的価値形態から貨幣形態への移行
 D 貨幣形態
第四節 商品の呪物的性格とその秘密
(1)商品の神秘的な性格はどこから生ずるのか
(2)経済学の画期的な発見と、その経済学への
   批判
(3)労働生産物が商品という形態をとることの
   ない、自由な人々の結合体
(4)現実の世界の宗教的な反射
付論一 労働力という商品の使用価値と価値
付論二 『資本論』以後にマルクスが「第一章」に
    ついて記した文章
 (1)1868年7月11日付けのクーゲルマンへの
    手紙
 (2)「アードルフ・ヴァーグナー著『経済学
    教科書』への傍注」
おわりに
引用文献
あとがき

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